大ヒットアニメで社会現象にもなった「鬼滅の刃」。これらを連想させる商品を中国から輸入し、販売したとして28日、男女4人が逮捕されました。
今年4月、横浜市の倉庫から次々と運び出される大量の段ボール箱。運び出した先には、大型トラック2台が待ち構えています。
愛知県警の捜査員が押収した段ボールは一部が破れていました。中から見えたのは、緑と黒の「市松模様」です。
倉庫の中からは、「鬼滅」ではなく「鬼退治」と書かれた段ボールも。愛知県警はこの倉庫などから、約3万6000点の商品を押収しました。
28日、不正競争防止法違反の疑いで逮捕されたのは、斉藤雪容疑者、斉藤容疑者の夫で、中国籍のウー・シャオ・ビン容疑者、斉藤容疑者の会社役員、吉田陽容疑者と、吉田菜菜容疑者の、合わせて4人です。
警察によりますと、4人は2020年4月、大ヒットアニメ「鬼滅の刃」に登場するキャラクターで特徴的な「市松模様」をあしらい、「鬼滅の刃」を連想させる商品を中国から輸入・販売し、企業間の競争を妨げた疑いがもたれています。
警察は、4人の認否を明らかにしていません。
集英社「ファンのみなさまを混乱させ、ご心配をおかけしております」
4人が運営していたインターネット販売サイトには、タオルに、マスク。アルコールスプレーや、下着に至るまで、ありとあらゆる商品が並んでいます。
特徴的なのは、「鬼退治」や「滅」などと書かれ、「鬼滅の刃」とは直接うたっていない点にあります。
これらの商品は、愛知県蟹江町のゲームセンターでクレーンゲームの景品などになっていました。
斉藤容疑者らは、商品を直接客に売ったり、店に卸したりして、2019年11月から今年4月にかけて、約16億6000万円を売り上げていたとみられています。
原作漫画「鬼滅の刃」を出版する集英社がメ~テレの取材に答えました。
「『鬼滅の刃』については、悪質な便乗商品、違法なコピー商品が大量に出回り、ファンのみなさまを混乱させ、ご心配をおかけしております。海外でもこういった商品が製造・販売されていることを確認しており弊社やアニメ版権の管理者などで正規品かどうかの鑑定をしております」(集英社の回答)
商標登録されていない「鬼滅の刃」を連想させる商品に捜査のメスが入ったのは初
「鬼滅の刃」をめぐっては、違法な商品が海外から持ち込まれる例が後を絶ちません。
名古屋税関税関では「コピー商品」の輸入を差し止めるなどして、水際対策をしてきました。
警察も「コピー商品」に対しては「商標権」を侵害しているとして取り締まってきましたが、今回のように商標登録されていないケースで「鬼滅の刃」を連想させる商品に捜査のメスが入ったのは、全国で初めてです。
コピー商品などの事件に詳しい早瀬久雄弁護士は。
「商標権を取っていない商標であっても「不正競争防止法違反」として刑事事件になるということが広がれば、抑止になる」「コピー商品を買うのは売っている人の行為を助長している」「コピー商品を買わないことが大切」(あいぎ法律事務所・早瀬久雄弁護士)
警察は、商品がどのように製造・輸入されたのか、流通ルートの解明などを進めるとともに、安易にコピー商品を手にとらないよう注意を呼びかけています。
(7月28日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)
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